事業の多角化の進め方|本業の顧客を活かす低リスクな方法と業種別の事例【2026年最新】

「本業だけに頼らず、経営を安定させたい」「事業を多角化したいが、何から始めればいいかわからない」――多くの中小企業の経営者が抱える悩みです。事業の多角化は、進め方次第で経営の安定にも、本業の弱体化にもつながります。
本記事では、多角化の意味と4つの種類、メリット・デメリットを解説し、本業の顧客を活かす低リスクな多角化の方法を紹介します。業種別の多角化の例や、ビズリサーチ掲載の募集に見る実際の事例、成功のステップとよくある失敗もあわせて解説します。
この記事の結論
事業の多角化とは、本業とは異なる新しい事業分野に進出し、複数の事業を持つことで、水平型・垂直型・集中型(関連)・集成型(非関連)の4つの種類があります。経営リスクの分散や経営資源の有効活用につながる一方、本業との関連が薄いほどリスクが大きくなるため、中小企業は本業の顧客・強みを活かせる分野を選び、代理店・紹介・OEMなど初期投資の小さい方法から始めるのがおすすめです。
この記事でわかること
- 事業の多角化とは?4つの種類
- 多角化のメリット・デメリット
- 本業の顧客を活かす低リスクな多角化の方法
- 業種別の多角化の例と注目事例
- 多角化を成功させる5つのステップとよくある失敗
目次
- 事業の多角化とは?
- 多角化の4つの種類
- 事業多角化のメリット・デメリット
- 本業の顧客を活かす「低リスクな多角化」の方法
- 業種別|本業を活かせる多角化の例
- 本業を活かした多角化の注目事例
- 建設会社×ドローン|既存の取引先から継続案件を獲得し、専門部署化
- 不動産会社×買取店|空き店舗を活用し、相続・整理の相談から買取へ
- 調剤薬局×訪問看護|地域の医療ネットワークを活かして開業
- 法人営業会社×福利厚生OEM|既存顧客へのクロスセルでストック収益
- 未経験からの不動産参入×空き家マッチング|粗利136万円
- 多角化を成功させる5つのステップ
- 多角化でよくある失敗と対策
- 事業の多角化に関するよくある質問(FAQ)
- まとめ:多角化は「本業の強み×低リスクな始め方」で成功確率が上がる
1.事業の多角化とは?
事業の多角化とは、企業が本業とは異なる新しい事業分野に進出し、複数の事業を持つことです。経営学者アンゾフが提唱した「成長マトリクス」では、新しい製品・サービスを、新しい市場に投入する戦略として位置づけられています。
| 既存の市場 | 新しい市場 | |
|---|---|---|
| 既存の製品・サービス | 市場浸透(今の顧客にもっと売る) | 新市場開拓(新しい顧客に売る) |
| 新しい製品・サービス | 新製品開発(今の顧客に新しいものを売る) | 多角化(新しい顧客に新しいものを売る) |
ひとことで言うと:多角化は「本業以外の柱をつくる」こと。うまくいけば経営が安定しますが、本業とのつながりが薄いほどリスクも大きくなります。
2.多角化の4つの種類
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 水平型多角化 | 今の顧客と同じような顧客に向けて、関連する新しい事業を始める | 不動産会社が入居者向けに光回線や電気を販売する |
| 垂直型多角化 | 事業の川上・川下に進出する | 飲食店が食材の仕入れ・販売事業を始める |
| 集中型(関連)多角化 | 本業の技術・ノウハウ・顧客を活かして、関連分野に進出する | 建設会社がドローンによる測量・点検事業を始める |
| 集成型(非関連)多角化 | 本業とほとんど関係のない分野に進出する | 製造業が飲食店のフランチャイズを始める |
一般に、本業との関連性が高い多角化ほど、成功の確率が高く、リスクが小さいとされています。中小企業が多角化を進める場合は、まず水平型や集中型(関連)の多角化から検討するのがおすすめです。
3.事業多角化のメリット・デメリット
| 内容 | |
|---|---|
| メリット1:経営リスクの分散 | 本業の市場が縮小しても、ほかの事業で経営を支えられる |
| メリット2:経営資源の有効活用 | 顧客・人材・設備・物件・ノウハウを複数の事業で活かせる(シナジー効果) |
| メリット3:成長機会の拡大 | 本業だけでは届かない市場や顧客にアプローチできる |
| メリット4:収益の安定 | ストック型の事業を加えることで、毎月の収益の土台をつくれる |
| デメリット1:経営資源の分散 | 資金や人材が分散し、本業がおろそかになる恐れがある |
| デメリット2:ノウハウ不足 | 新しい分野の知識や経験がなく、立ち上げに時間がかかる |
| デメリット3:投資リスク | 大きな投資をして失敗すると、本業の経営まで圧迫する |
デメリットを小さくするには、本業の強みを活かせる分野を選び、初期投資を抑えた方法で始めることが大切です。
4.本業の顧客を活かす「低リスクな多角化」の方法
中小企業が多角化を進めるうえで、最もリスクが小さいのは、本業の顧客を活かす方法です。新しい顧客をゼロから探す必要がないため、立ち上がりが早く、失敗しても損失を抑えられます。
| 方法 | 初期投資 | 本業の顧客の活かしやすさ | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 代理店・紹介 | 小さい(0円〜) | 非常に高い | 今の顧客に追加で提案できる商材がある |
| OEM(自社ブランド) | 小さい | 高い | 自社のサービスとセットで売りたい |
| フランチャイズ | 中〜大 | 中 | 店舗や設備を使う事業に本格参入したい |
| M&A | 大きい | 事業による | すでに顧客を持つ事業を買って一気に参入したい |
| 自社開発 | 大きい | 高い | 独自の技術・ノウハウを事業化したい |
とくに代理店・紹介やOEMは、本業の顧客に「次の困りごと」を解決するサービスを提案するだけで始められるため、水平型・集中型の多角化を低リスクで実現できます。
5.業種別|本業を活かせる多角化の例
| 本業 | 活かせる強み | 多角化の例(ビズリサーチ掲載) |
|---|---|---|
| 不動産 | 物件・入居者・オーナーとの接点 | 空き家マッチング、あんしん住設保証、トランクルーム |
| 建設・リフォーム | 技術者・建設会社の取引先 | ドローン(測量・点検)、太陽光・蓄電池 |
| 通信・訪問販売 | 戸建て・法人への訪問網 | 電気、ウォーターサーバー、太陽光・蓄電池 |
| 飲食店・店舗支援 | 飲食店オーナーとの接点 | フードデリバリー、Airペイ、Airレジ オーダー |
| 人材 | 企業の人事・経営者、求職者との接点 | 採用管理システム、福利厚生OEM |
| IT・Web制作 | 顧客企業のシステム・Webの知見 | AI開発、AI店舗集客OEM |
| 医療・介護 | 地域の医療・福祉ネットワーク | 訪問看護FC、医療AI |
| 保険・FP | 家計・住宅購入の相談 | 住宅相談FC、キッズマネースクール |
※2026年10月6日時点のビズリサーチ掲載情報に基づきます。
6 - 1.建設会社×ドローン|既存の取引先から継続案件を獲得し、専門部署化
ある地方の建設会社は、既存顧客への価値提供の強化と新規事業としての成長余地を求めて、ドローンビジネスFC「aotori」に加盟しました。工事現場の進捗管理のための空撮から始まり、測量や構造物点検にも広がり、専門部署化するまでに成長した事例があります。本業の取引先にそのまま提案できる、典型的な集中型(関連)の多角化です。
| 募集企業 | 一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会 |
|---|---|
| 契約タイプ | フランチャイズ |
| 募集対象 | 個人事業主・法人どちらも |
| 募集エリア | 全国 |
| 初期費用 | 220万〜260万円前後(税込) |
6 - 2.不動産会社×買取店|空き店舗を活用し、相続・整理の相談から買取へ
ある地方都市の不動産会社は、空き店舗の有効活用と安定収益源の確保を目的に「買取大吉」に加盟しました。開業初月から来店が増加して早期に黒字化し、「不動産+買取相談」を組み合わせて相続・整理の相談から買取につなげるモデルを構築しています。
| 募集企業 | 株式会社エンパワー |
|---|---|
| 契約タイプ | フランチャイズ |
| 募集対象 | 個人事業主・法人どちらも |
| 募集エリア | 全国 |
| 開業費用 | 立地・店舗規模により個別案内 |
6 - 3.調剤薬局×訪問看護|地域の医療ネットワークを活かして開業
ある調剤薬局を経営する法人は、地域の医療ネットワークと信頼関係を活かして訪問看護ステーションを開業しました。開業8か月で月商450万円を突破し、年間黒字化を達成。既存事業とのシナジーも生まれた事例です。
| 募集企業 | 4X株式会社 |
|---|---|
| 契約タイプ | フランチャイズ |
| 募集対象 | 法人 |
| 募集エリア | 全国 |
| 開業運営支援 | 開業運営支援契約374万円+月次サポート費(税込) |
6 - 4.法人営業会社×福利厚生OEM|既存顧客へのクロスセルでストック収益
ある法人営業を行う企業は、既存顧客との関係強化と新たな収益源の確保を目的に、福利厚生サービス「CLARiS」をOEMで導入しました。自社ブランドの福利厚生サービスとして既存顧客に提供し、新たなストック収益を構築した事例です。
| 募集企業 | 株式会社クラリス |
|---|---|
| 契約タイプ | 代理店・紹介店 |
| 募集対象 | 個人事業主・法人どちらも |
| 募集エリア | 全国 |
| 初期費用 | 0円 |
6 - 5.未経験からの不動産参入×空き家マッチング|粗利136万円
関東エリアで新規参入した企業が、不動産業界は未経験ながら、営業資料と動画研修を活用して空き家マッチングを開始し、合計で約136万円の粗利を実現した事例があります。紹介先の工務店との連携で施工もスムーズに進めています。
| 募集企業 | 株式会社エグゼクティブマーケティングジャパン |
|---|---|
| 契約タイプ | 代理店・紹介店 |
| 募集対象 | 個人事業主・法人どちらも |
| 募集エリア | 全国 |
| 初期費用 | 6.5万円(税込) |
7.多角化を成功させる5つのステップ
- 本業の強みを棚卸しする:顧客・人材・技術・設備・物件・地域の信用など、他社にない強みを書き出す
- 強みを活かせる分野を選ぶ:本業の顧客の「次の困りごと」や、強みが活きる関連分野を候補にする
- 低リスクな方法で始める:代理店・紹介・OEMなど初期投資の小さい方法で小さく始め、手応えを確かめる
- 専任の責任者を置く:兼務では本業に引っ張られやすいため、責任者と稼働時間を明確にする
- 撤退基準と拡大基準を決める:「1年で売上〇円」「月〇件の受注」など、続ける・広げる・やめるの判断基準を決めておく
8.多角化でよくある失敗と対策
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 流行りの分野に飛びつき、本業とのシナジーがなかった | 本業の顧客・強みを活かせる分野を選ぶ |
| 新規事業に人と資金をかけすぎて本業が弱った | 小さく始め、本業の体制を崩さない範囲で進める |
| ノウハウがなく、立ち上げに時間がかかった | 本部の研修・支援が充実した代理店・FC・OEMを活用する |
| 撤退の判断が遅れて損失が拡大した | 始める前に撤退基準を決めておく |
| 社内の理解が得られず、事業が進まなかった | 多角化の目的と本業へのメリットを社内で共有する |
新規事業のアイデアは「中小企業の新規事業アイデア15選」、法人のFC活用は「既存事業を持つ法人が業態を増やすためのフランチャイズの選び方」、自社ブランドでの多角化は「OEMで自社ブランドの商材を持つ方法」、継続収入づくりは「ストック収益のつくり方」でも解説しています。
9 - 1.事業の多角化とは何ですか?
企業が本業とは異なる新しい事業分野に進出し、複数の事業を持つことです。アンゾフの成長マトリクスでは、新しい製品・サービスを新しい市場に投入する戦略として位置づけられています。
9 - 2.多角化にはどんな種類がありますか?
今の顧客と似た顧客に関連事業を展開する水平型、事業の川上・川下に進出する垂直型、本業の技術・ノウハウ・顧客を活かす集中型(関連)、本業と関係の薄い分野に進出する集成型(非関連)の4つがあります。
9 - 3.多角化のメリット・デメリットは?
経営リスクの分散、経営資源の有効活用、成長機会の拡大、収益の安定がメリットです。一方、経営資源の分散、ノウハウ不足、投資リスクといったデメリットがあります。
9 - 4.中小企業が低リスクで多角化する方法は?
本業の顧客を活かせる分野を選び、代理店・紹介やOEMなど初期投資の小さい方法から始めるのがおすすめです。本業の顧客に「次の困りごと」を解決するサービスを提案するだけで始められます。




