飲食店営業許可の取り方【2026年最新】|保健所への事前相談・施設基準・食品衛生責任者から開業までの手続きを完全解説

飲食店を開業するには、食品衛生法にもとづく飲食店営業許可を、店舗の所在地を管轄する保健所から受ける必要があります。許可は店舗(施設)ごとに必要で、フランチャイズに加盟して開業する場合も、加盟店が自ら許可を取得します。
許可を受けるには、店舗が施設基準を満たし、食品衛生責任者を置く必要があります。工事の前に保健所に相談しないと、工事のやり直しが必要になることもあります。本記事では、各自治体の案内をもとに、許可の取得から、消防・警察・税務署などの開業前の手続きまで、開業までの流れを順番に解説します。
この記事でわかること
- 飲食店営業許可が必要なケース
- 開業までのスケジュール
- 食品衛生責任者と施設基準
- 申請から許可証の交付までの手順
- 許可以外に必要な届出と、開業後の義務
この記事の結論
飲食店を開業するには、店舗ごとに保健所から食品衛生法にもとづく飲食店営業許可を受ける必要があります。内装工事の前に図面を持って保健所に事前相談し、自治体の条例で定める施設基準(区画、手洗い設備、洗浄設備、冷蔵設備など)を満たす設計にします。店舗ごとに食品衛生責任者(調理師などの資格者、または養成講習会の修了者)を置き、工事完了の10日前ごろを目安に申請して施設の確認検査を受けると許可証が交付されます。開業前には消防署への届出、深夜に酒類を提供する場合の警察署への届出なども必要で、開業後はHACCPに沿った衛生管理を行います。
目次
- 飲食店営業許可とは
- 開業までのスケジュールの目安
- STEP1:保健所に事前相談する(工事の前に)
- STEP2:施設基準を満たす
- STEP3:食品衛生責任者を置く
- STEP4:営業許可を申請する
- 営業許可以外に必要な主な手続き
- 開業後に守るべき主な義務
- 開業までのチェックリスト
- 飲食店営業許可に関するよくある質問(FAQ)
- 飲食店営業許可はどこで申請しますか?
- いつ申請すればよいですか?
- 食品衛生責任者になるには?
- 居抜き物件なら許可はそのまま使えますか?
- 飲食店営業許可のほかに必要な手続きは?
- フランチャイズでも自分で許可を取るのですか?
- まとめ|飲食店営業許可は「工事の前に保健所へ相談」が最重要
1.飲食店営業許可とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 食品衛生法 |
| 許可権者 | 都道府県知事・保健所設置市の市長など(窓口は店舗を管轄する保健所) |
| 対象 | 食品を調理し、または設備を設けて客に飲食させる営業(レストラン、カフェ、居酒屋、ラーメン店、弁当・惣菜の調理販売、キッチンカーなど) |
| 単位 | 施設(店舗・車両)ごとに許可が必要 |
| 手数料 | 自治体ごとに異なる |
| 有効期間 | 自治体が定める期間(例:5〜8年。更新が必要) |
| オンライン申請 | 厚生労働省の「食品衛生申請等システム」で申請できる |
2021年6月の改正食品衛生法の施行により、許可が必要な業種が32業種に整理され、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められるようになりました。調理をせずに包装された食品だけを販売する場合など、許可ではなく「営業届出」でよい業種もあります。
2.開業までのスケジュールの目安
| 時期 | やること |
|---|---|
| 物件契約前〜内装工事前 | 保健所に事前相談(図面を持参)。必要な許可の種類と施設基準を確認する |
| 工事中 | 食品衛生責任者の資格を取る。消防署への相談・届出の準備 |
| 工事完了の10日前ごろまで | 保健所に営業許可を申請し、施設の確認検査の日程を決める |
| 工事完了後 | 保健所の施設確認検査を受ける |
| 検査後(数日程度) | 許可が出て、許可証が交付される(交付前でも許可日以降は営業できる自治体もある) |
| 開業 | 営業許可証を店内に掲示して営業開始 |
※申請時期や許可までの日数は自治体によって異なります。必ず管轄の保健所に確認してください。
3.STEP1:保健所に事前相談する(工事の前に)
- 内装工事を始める前に、店舗の図面(平面図・設備の配置図)を持って管轄の保健所に相談する
- 提供するメニューや調理工程を説明し、必要な許可の種類(飲食店営業のほか、菓子製造業などが必要か)を確認する
- 施設基準に合っているか、図面の段階で指摘を受けて修正する
- 居抜き物件でも、前の店の許可は引き継げないため、新たに許可が必要
工事が終わってから基準に合わないことがわかると、工事のやり直しになり、開業が遅れてしまいます。フランチャイズの場合も、本部の標準設計が地域の基準に合っているか保健所で確認しましょう。
4.STEP2:施設基準を満たす
施設基準は、全国共通の基準と業種ごとの基準をもとに、各自治体が条例で定めています。主な項目は次のとおりです。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 区画 | 調理場は客席や住居と明確に区画されている |
| 床・壁・天井 | 清掃しやすく、水が浸透しにくい材質 |
| 手洗い設備 | 従業員専用の手洗い設備(水栓の形状、消毒液の設置など) |
| 洗浄設備 | 食器や器具を洗うシンク(必要な槽数は自治体の基準を確認) |
| 給水・給湯 | 飲用に適する水を十分に供給できる。井戸水などは水質検査が必要 |
| 冷蔵・冷凍設備 | 食品を適切な温度で保管できる設備と温度計 |
| 換気・照明 | 十分な換気設備と明るさ |
| 保管設備 | 食器・器具・原材料を衛生的に保管できる設備 |
| 廃棄物容器 | ふたつきで清掃しやすいもの |
| トイレ | 調理場に影響のない位置にあり、専用の手洗い設備がある |
※詳細は店舗所在地の自治体の条例・保健所の案内で必ず確認してください。
5.STEP3:食品衛生責任者を置く
- 店舗ごとに食品衛生責任者を1人置く(営業者本人や従業員がなれる)
- 調理師、栄養士、製菓衛生師などの資格がある人は、講習を受けずに食品衛生責任者になれる
- 資格がない人は、都道府県などが指定する食品衛生責任者養成講習会(1日・約6時間程度)を受講する
- 講習は予約制で、開催日が限られるため早めに申し込む
- 開業後も、定期的な実務講習会の受講が求められる自治体がある
6.STEP4:営業許可を申請する
主な必要書類
| 書類 | ポイント |
|---|---|
| 営業許可申請書 | 食品衛生申請等システムで作成・申請できる(紙での申請も可) |
| 施設の構造・設備を示す図面 | 平面図、設備の配置図など |
| 食品衛生責任者の資格を証明する書類 | 養成講習会の修了証、調理師免許など |
| 登記事項証明書(法人の場合) | 自治体によっては省略できる場合がある |
| 水質検査の結果(井戸水などを使う場合) | 水道水の場合は不要 |
| 申請手数料 | 自治体の定める額を納付 |
手順
| 手順 | やること |
|---|---|
| ① 申請 | 工事完了予定日の10日前ごろを目安に、保健所に申請書類を提出し手数料を納める |
| ② 検査日の調整 | 施設の確認検査の日時を決める |
| ③ 施設の確認検査 | 保健所の担当者が店舗に来て、施設基準に合っているかを確認する(設備が使える状態にしておく) |
| ④ 許可・許可証の交付 | 基準に合っていれば許可され、許可証が交付される |
| ⑤ 掲示 | 許可証を店内の見やすい場所に掲示する |
施設が基準に合わない場合や、工事が終わっていない場合は許可されません。指摘を受けたら改善し、再確認を受けます。
7.営業許可以外に必要な主な手続き
| 手続き | 提出先 | ポイント |
|---|---|---|
| 防火対象物使用開始届 | 消防署 | 店舗の使用を始める前に届け出る(東京消防庁管内は使用開始の7日前まで。期限は消防本部ごとに確認)。内装工事をする場合は、工事着手の7日前までに防火対象物工事等計画届出書が必要な場合がある |
| 防火管理者の選任届 | 消防署 | 飲食店などは、建物全体の収容人員が30人以上の場合に防火管理者の選任が必要(テナントビルでは店舗が小さくても必要になることがある) |
| 深夜酒類提供飲食店営業の届出 | 警察署 | 午前0時から午前6時まで主に酒類を提供する場合に、営業開始の10日前までに届け出る |
| 風俗営業の許可 | 警察署(公安委員会) | 客の接待をする場合(スナック・キャバクラなど)は許可が必要 |
| 開業届・法人設立の届出 | 税務署・自治体 | 個人は開業届、法人は法人設立届出書など |
| 労働保険・社会保険 | 労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所 | 従業員を雇う場合に手続きする |
| 酒類販売業免許 | 税務署 | 店内で提供するだけなら不要。持ち帰り用に酒を販売する場合は必要 |
設立後の税務・社会保険の届出は「会社設立後にやることチェックリスト」で詳しく解説しています。
8.開業後に守るべき主な義務
- HACCPに沿った衛生管理:業界団体の手引書などを参考に衛生管理計画を作り、実施して記録する
- 食品衛生責任者の役割:衛生管理の責任者として、従業員の教育や衛生状態の確認を行う
- 営業許可証の掲示:店内の見やすい場所に掲示する
- 変更の届出:営業者の氏名・住所、施設の構造・設備の大きな変更などがあったら保健所に届け出る(施設の大幅な改装は新たな許可が必要な場合がある)
- 許可の更新:有効期間が切れる前に更新手続きをする
- 食品表示:持ち帰りの弁当などを販売する場合は、食品表示法のルールに従う
- アレルギー・食中毒への対応:食中毒が疑われる場合は保健所に連絡する
9.開業までのチェックリスト
- 物件契約・工事前に保健所に事前相談した(図面を持参)
- 必要な許可の種類(飲食店営業・菓子製造業など)を確認した
- 施設基準(手洗い・シンク・冷蔵設備・区画など)を満たす設計にした
- 食品衛生責任者の資格を取った(または有資格者を確保した)
- 工事完了の10日前ごろを目安に営業許可を申請した
- 施設の確認検査を受け、許可証を受け取った
- 消防署への届出(防火対象物使用開始届など)を行った
- 深夜に酒類を提供する場合は警察署に届け出た
- 開業届・法人の届出、従業員の保険手続きを行った
- HACCPに沿った衛生管理計画を作った
- 許可証を店内に掲示した
飲食フランチャイズを検討している方は「フランチャイズ加盟店募集一覧」から比較できます。
▶ 掲載中の募集を一覧で探す
- フランチャイズ加盟店募集一覧(業種別・開業資金別)|掲載中のフランチャイズ募集を業種・開業資金で比較
▶ 手続きに使う公式サイト
※東京都の案内は例です。施設基準・手数料・届出期限は自治体ごとに異なるため、店舗所在地の保健所・消防署・警察署のホームページで確認してください。
10 - 5.飲食店営業許可のほかに必要な手続きは?
消防署への防火対象物使用開始届、収容人員によっては防火管理者の選任、深夜0時から6時に主に酒類を提供する場合の警察署への届出、税務署への開業届などが必要です。
11.まとめ|飲食店営業許可は「工事の前に保健所へ相談」が最重要
飲食店を開業するには、店舗ごとに保健所から飲食店営業許可を受ける必要があります。工事の前に図面を持って保健所に相談し、施設基準を満たす設計にすること、食品衛生責任者を置くこと、工事完了前に申請して施設の確認検査を受けることが、スムーズな開業のポイントです。
あわせて、消防署への届出や、深夜に酒類を提供する場合の警察署への届出、税務・労務の手続きも必要です。施設基準や手数料は自治体ごとに異なるため、必ず管轄の保健所で確認しましょう。許認可が必要な他の事業は「許認可・届出が必要な事業一覧」で解説しています。
■ 参考資料・出典