有料職業紹介事業の許可の取り方【2026年最新】|資産要件・職業紹介責任者・必要書類・手数料から事業開始までを完全解説

人材紹介業(求人企業に求職者を紹介し、採用が決まったら手数料を受け取る事業)を始めるには、職業安定法にもとづく有料職業紹介事業の許可が必要です。許可は厚生労働大臣が行い、申請は事業所を管轄する都道府県労働局に提出します。申請から許可まではおおむね2〜3か月かかります。
本記事では、労働局の「職業紹介事業 許可申請の手引き」をもとに、許可基準、必要書類、費用、申請手順、許可後の義務まで、事業開始までの流れを順番に解説します。
この記事でわかること
- 有料職業紹介事業の許可が必要なケース
- 許可基準(資産要件・職業紹介責任者・事業所など)
- 法人・個人別の必要書類
- 手数料・登録免許税と申請の流れ
- 許可後の義務と更新
この記事の結論
人材紹介業を始めるには、職業安定法にもとづく有料職業紹介事業の許可(厚生労働大臣)が必要で、申請は事業所を管轄する都道府県労働局に行います。主な要件は、基準資産額500万円×事業所数以上・現金預金150万円以上(1事業所の場合)、申請前5年以内に講習を受けた職業紹介責任者の選任、プライバシーに配慮した事業所、個人情報適正管理規程などです。費用は許可手数料5万円(追加事業所1か所ごとに1万8千円)と登録免許税9万円で、申請から許可までおおむね2〜3か月かかります。新規許可の有効期間は3年、更新後は5年です。
目次
1.有料職業紹介事業の許可とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 職業安定法 第30条 |
| 許可権者 | 厚生労働大臣(申請窓口は、事業所を管轄する都道府県労働局の需給調整事業担当) |
| 費用 | 許可手数料5万円(2事業所目から1事業所ごとに1万8千円を加算)+登録免許税9万円 |
| 許可までの期間 | 申請受理からおおむね2〜3か月(労働政策審議会への諮問を経て許可) |
| 有効期間 | 新規許可は3年。更新後は5年 |
| 無許可営業 | 罰則の対象 |
求人企業と求職者の間に立って雇用関係の成立をあっせんし、手数料を受け取る場合は許可が必要です。人材紹介の「紹介代理店」として候補者や求人企業を紹介する場合も、業務の実態によっては職業紹介に当たることがあるため、委託元や労働局に確認しましょう。
出典:長崎労働局「職業紹介事業 許可申請の手引き」(令和7年9月改訂)など
2.STEP1:許可基準を満たしているか確認する
| 基準 | 主な内容 |
|---|---|
| ① 財産的基礎(資産要件) | 直近の決算で、基準資産額(資産-負債-繰延資産-営業権)が500万円×事業所数以上、かつ自己名義の現金・預金が150万円+60万円×(事業所数-1)以上 |
| ② 個人情報の適正管理 | 個人情報適正管理規程を定め、求人者・求職者の秘密を守る措置を講じている |
| ③ 代表者・役員 | 職業安定法第32条の欠格事由に該当しない |
| ④ 職業紹介責任者 | 未成年者でなく欠格事由に該当しない、3年以上の職業経験がある、申請受理日前5年以内に職業紹介責任者講習を受講している、自社で雇用する者から専属で選任(職業紹介の従事者50人ごとに1人以上) |
| ⑤ 事業所 | 風俗営業などが密集する場所にない、個室やパーティションでプライバシーを守って面談できる構造、公的機関と誤認される名称でない |
| ⑥ 適正な事業運営 | 業務の運営に関する規程、手数料の定め、名義貸しをしない、など |
設立したばかりで決算がない法人は、資産要件の確認方法が異なる場合があります。資本金の額や確認書類について、事前に労働局へ相談しましょう。
3.STEP2:職業紹介責任者講習を受講する
- 職業紹介責任者になる人は、厚生労働省が定める「職業紹介責任者講習」を受講する(申請受理日前5年以内の受講が必要)
- 講習は予約制で、日程が埋まることもあるため早めに申し込む
- 受講後に交付される受講証明書の写しを申請書類に添付する
- 許可後も、少なくとも5年に1回は講習を受講する
4.STEP3:事業所・定款を準備する
- 事業所:求職者と面談できる個室、またはパーティションで区切ったスペースを用意する。個人情報を保管する施錠付きキャビネットも必要
- 賃貸借契約:使用目的が「住居」の場合は、「事務所」への変更または貸主の承諾書が必要
- 定款・登記(法人):事業目的に「職業紹介事業」(有料職業紹介事業)を追加し、登記を済ませておく
- 取扱職種・地域:取り扱う職種や地域を限定するかどうかを決める(限定する場合は届出書を提出)
- 手数料:上限制手数料にするか、届出制手数料(求人者から成功報酬として年収の◯%など)にするかを決め、手数料表を作る
5.STEP4:必要書類をそろえる
申請書類(正本1通・写し2通)
| 書類 | ポイント |
|---|---|
| 職業紹介事業許可申請書(様式第1号) | 法人の名称・所在地は登記どおり、役員は監査役を含め全員を記載。収入印紙5万円(+追加事業所分)を貼る(消印しない) |
| 有料職業紹介事業計画書(様式第2号) | 事業所ごとの有効求職者見込数、職業紹介の従事者数など |
| 届出制手数料届出書(様式第3号) | 届出制手数料を採用する場合に提出。手数料表を添付 |
| 取扱職種範囲等届出書(様式第6号) | 取扱職種や地域を限定する場合に提出 |
添付書類(正本1通・写し1通)
| 書類 | 法人 | 個人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 定款 | ○ | — | 事業目的に職業紹介事業が入っていること |
| 登記事項証明書(履歴事項全部証明書) | ○ | — | 申請日前3か月以内。行政機関間の情報連携で確認できる場合は省略可 |
| 代表者・役員の住民票 | ○(役員全員) | ○(本人) | 本籍の記載あり・マイナンバーなし・3か月以内 |
| 代表者・役員の履歴書 | ○ | ○ | 写真不要。賞罰の有無、役員の就任・退任、空白期間の状況まで記載 |
| 職業紹介責任者の住民票・履歴書 | ○ | ○ | 住民票は本籍あり・3か月以内 |
| 職業紹介責任者講習の受講証明書(写し) | ○ | ○ | 申請日前5年以内のもの |
| 事業所の使用権を証する書類 | ○ | ○ | 賃貸借契約書など。自己所有は建物の登記事項証明書 |
| 事業所の平面図 | ○ | ○ | 面談スペース、施錠付きキャビネットの位置を記載 |
| 資産に関する書類 | 貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・法人税申告書(別表1・4)・納税証明書(その2) | 青色申告は貸借対照表・損益計算書・所得税申告書・納税証明書(その2)など | 直近の決算のもの |
| 個人情報適正管理規程 | ○ | ○ | 様式例を参考に作成 |
| 業務の運営に関する規程 | ○ | ○ | 様式例を参考に作成 |
| 登録免許税の領収証書(原本) | ○ | ○ | 9万円を金融機関や税務署で現金納付(ネットバンキングでは領収証書が出ないため注意) |
労働局の手引きでは、住民票に本籍の記載がない、決算書類の不足、3か月を過ぎた住民票・登記簿、履歴書の職歴や賞罰の記載漏れが、不備の多い例として挙げられています。
6.STEP5:労働局に申請し、許可証を受け取る
| 手順 | やること |
|---|---|
| ① 事前相談 | 管轄の労働局(需給調整事業室など)に相談し、事業計画や事業所の要件を確認する |
| ② 申請 | 書類一式を労働局に提出(収入印紙・登録免許税の領収証書を添付) |
| ③ 実地調査 | 申請受理後、日程を調整して事業所の実地調査が行われる |
| ④ 審査・諮問 | 労働局・厚生労働省で審査し、労働政策審議会に諮問(申請からおおむね2〜3か月) |
| ⑤ 許可証の交付 | 許可証交付式・説明会で許可証を受け取る(申請者または役員・従業員の出席が必要) |
| ⑥ 事業開始 | 許可証を受け取ってから職業紹介事業を開始する |
許可予定日は、申請時に受け取る預かり証に記載されます。事業開始の予定日から逆算して、余裕をもって申請しましょう。
7.許可後に守るべき主な義務
- 許可証の備え付け:事業所ごとに許可証を備え付ける
- 手数料表などの明示:手数料表、業務の運営に関する規程などを、求人者・求職者が見やすいように掲示・公開する
- 労働条件の明示:求職者に紹介するときは、業務内容・賃金・労働時間などの労働条件を書面などで明示する
- 帳簿の作成・保存:求人求職管理簿・手数料管理簿を備え付け、2年間保存する
- 事業報告:毎年4月30日までに、前年度(4月〜3月)分の職業紹介事業報告書を労働局に提出する(紹介実績がなくても必要)
- 情報提供:人材サービス総合サイトなどで、紹介による就職者数(うち無期雇用)、6か月以内の離職者数、手数料、返戻金制度に関する情報を提供する
- 変更届:名称・所在地・役員・職業紹介責任者・事業所などに変更があったら届け出る
- 更新:有効期間満了の3か月前までに更新申請を行う(新規許可は3年、更新後は5年。更新時も資産要件あり)
詳しい義務は、厚生労働省「職業紹介事業パンフレット」や「職業紹介事業の業務運営要領」で確認できます。
8.申請から事業開始までのチェックリスト
- 直近決算で基準資産額500万円以上・現金預金150万円以上を満たしている(または事前相談した)
- 職業紹介責任者を選び、講習を受講した(申請前5年以内)
- 面談スペースと施錠付きキャビネットのある事業所を確保した
- 賃貸借契約の使用目的が事務所になっている(または貸主の承諾書がある)
- (法人)定款・登記の事業目的に職業紹介事業を追加した
- 手数料の方式(上限制・届出制)を決め、手数料表を作った
- 個人情報適正管理規程・業務の運営に関する規程を作った
- 住民票(本籍あり)・登記事項証明書を3か月以内で取得した
- 収入印紙5万円と登録免許税9万円(領収証書)を用意した
- 労働局に申請し、実地調査を受けた
- 許可証交付式に出席し、許可証を受け取った
人材関連の代理店・新規事業は「人材紹介会社の新規事業|追加商材10選」でも紹介しています。
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- 代理店募集一覧(ジャンル別・報酬タイプ別)|掲載中の代理店募集をジャンル別にまとめて比較
▶ 手続きに使う公式サイト
※手引きは長崎労働局の例です。申請先の都道府県労働局のホームページでも様式・手引きを確認してください。
9 - 5.自宅で人材紹介業はできますか?
事業所として、プライバシーを守って求職者と面談できる構造や、個人情報を保管する施錠付きキャビネットなどが必要です。賃貸の場合は使用目的を事務所にするか、貸主の承諾書が必要です。
10.まとめ|人材紹介の許可は「資産要件・講習・事業所」を先に整える
有料職業紹介事業の許可を取るには、基準資産額500万円・現金預金150万円以上(1事業所の場合)の資産要件、講習を受けた職業紹介責任者、プライバシーに配慮した事業所が必要です。費用は許可手数料5万円と登録免許税9万円で、申請から許可まではおおむね2〜3か月かかります。
書類の不備は審査の遅れにつながるため、事前に労働局に相談し、手引きのチェックリストに沿って準備しましょう。許認可が必要な他の事業は「許認可・届出が必要な事業一覧」で解説しています。
■ 参考資料・出典